【新・日本の絶景】“世界で最も美しい”美術館「下瀬美術館」(2)

望洋テラスから見た可動展示室。夜はライトアップされ、パステルカラーの光が水盤に映り、昼とは異なる美しさ
幻想的な夕景にもうっとり
【新・日本の絶景】“世界で最も美しい”美術館「下瀬美術館」(1)から続く
可動展示室では25年2月16日まで、展覧会「マイセン磁器―恋する表情」を開催した。「神話」や「宮廷の暮らし」など展示室ごとにテーマを変え、ヨーロッパで最初の磁器製作所として知られる1710年創業のマイセンの魅力を分かりやすく紹介した。
可動展示室の第2室は「西洋から見た東洋」がテーマ
マイセン窯《 山羊に乗った仕立屋》 マイセン窯の名声を高めた彫刻家ケンドラーの作品が並ぶ第3室では、代表作「山羊に乗った仕立屋」を展示した
別棟の企画展示室は常設展のイメージで、ピカソや 棟方志功(むなかたしこう)の絵画のほか、ガレのガラス作品など秀作が並ぶ。
作品を鑑賞した後は、エントランス棟、企画展示室、管理棟を長さ190メートル、高さ8.5メートルのミラーガラスでつなぐ渡り廊下のベンチでひと休み。映り込む風景や可動展示室も耽美的だ。
廊下を進んでエミール・ガレの庭を散策し、カフェで一服してから、建物屋上にある望洋テラスへ向かった。夕暮れの瀬戸内海と大竹の工場夜景を背景に、淡く光るカラフルな八つの可動展示室を眺めていると、まるで近未来のまちに迷い込んだような心持ちになる。
エミール・ガレの庭。作品に登場する草花が植えられている
25年2月15日までの土曜を中心にナイトミュージアムを開催。開館時間を19時(入館は18時30分)まで延長して、展示や可動展示室のライトアップを展開した。「世界で最も美しい美術館」の称号も納得の、多彩な美をぜひ自分の目で見てほしい。
1 月・2 月に開催したナイトミュージアムの様子
☕MUSEUM CAFE
下瀬美術館のエントランス棟にあるカフェ。コーヒーなどのドリンク(800円~)のほか、地元で人気のカフェや洋菓子店から取り寄せたサンドウィッチ(単品1500円、ドリンクセット2000円)や本日のケーキセット(1800円)が味わえる。
■10時30分~16時30分/定休日は美術館に準ずる/アクセス、問い合わせは美術館と同じ
🏭大竹の工場夜景
小瀬(おぜ)川の良水に恵まれた大竹市には、1962年に日本初の石油化学コンビナートが建設され、臨海工業地区として発展してきた。現在は大竹港周辺に工場が多数立ち並び、港近くの道路や亀居公園などの高台から工場の美しい夜景が眺められると、全国からファンが訪れている。
■亀居公園へは大竹駅から玖波駅行きバス15分、おがたピア下車徒歩15分/広島岩国道路大竹ICから2キロ/TEL:0827-59-2131(大竹市産業振興課)
下瀬美術館【ベストシーズン】通年
営業:9時30分~16時30分/月曜(祝日の場合は開館)、年末年始、展示替え期間休
入館料:1800円
交通:山陽線大竹駅からこいこいバス12分、ゆめタウン下車徒歩5分/広島岩国道路大竹ICから3キロ
問い合わせ:TEL 0827-94-4000
文/児島奈美 写真/宮川 透ほか
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2025年2月号)
(Web掲載:2025年5月13日)